n8nは、ノーコードで業務を自動化できるワークフローツールです。この記事では、n8nの基本的な使い方から実践的なワークフロー作成まで、初心者にもわかりやすく解説します。
n8nの基本概念
n8nを使いこなすには、まず2つの基本概念を理解しましょう。
ワークフローとは
ワークフローは、自動化したい業務の一連の流れを定義したものです。「トリガー(きっかけ)」から始まり、複数の「アクション(処理)」を順番に実行します。
例えば「メールを受信したら → 内容を要約して → Slackに通知する」という一連の流れが1つのワークフローです。
ノードとは
ノードは、ワークフローを構成する「部品」です。n8nには500種類以上のノードがあり、これらを組み合わせて自動化を実現します。
ノードは大きく2種類に分かれます。
| 種類 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| トリガーノード | ワークフローを開始するきっかけ | Webhook、スケジュール、メール受信 |
| アクションノード | 実際の処理を実行 | データ変換、API呼び出し、通知送信 |
n8nの画面構成
n8nにログインすると表示される主な画面を説明します。
ダッシュボード
作成したワークフローの一覧が表示されます。ここから新規ワークフローを作成したり、既存のワークフローを編集・実行できます。
ワークフローエディター(キャンバス)
ワークフローを作成・編集するメイン画面です。ノードをドラッグ&ドロップで配置し、線でつないでワークフローを構築します。
主な操作方法は以下の通りです。
- ノードの追加:「+」ボタンをクリック、またはTabキー
- ノードの接続:ノードの端をドラッグして別のノードに接続
- ノードの設定:ノードをダブルクリック
- テスト実行:「Test workflow」ボタン
- 保存:Ctrl+S(Mac: Cmd+S)
ノードパネル
利用可能なノードを検索・選択する画面です。カテゴリ別に整理されており、検索窓で目的のノードを素早く見つけられます。
最初のワークフローを作成しよう
実際にワークフローを作成してみましょう。ここでは「毎日決まった時間にSlackにメッセージを送信する」シンプルなワークフローを作成します。
ステップ1:新規ワークフローを作成
- ダッシュボードで「Create Workflow」または「+」ボタンをクリック
- ワークフロー名を入力(例:「毎朝のリマインダー」)
ステップ2:トリガーノードを追加
- キャンバスの「+」ボタンをクリック
- 検索窓に「schedule」と入力
- 「Schedule Trigger」をクリックして追加
- 設定画面で以下を設定
- Trigger Interval:Days
- Days Between Triggers:1
- Trigger at Hour:9(午前9時)
- Trigger at Minute:0
ステップ3:Slackノードを追加
- Schedule Triggerノードの右端の「+」をクリック
- 検索窓に「slack」と入力
- 「Slack」をクリックして追加
- 認証情報を設定
- 「Create New Credential」をクリック
- SlackのOAuth認証画面で許可
- 送信設定
- Resource:Message
- Operation:Send
- Channel:送信先のチャンネルを選択
- Text:「おはようございます!今日も頑張りましょう!」
ステップ4:テストと有効化
- 「Test workflow」ボタンでテスト実行
- Slackにメッセージが送信されることを確認
- 右上の「Save」ボタンで保存
- 「Active」トグルをオンにして有効化
これで、毎朝9時にSlackにメッセージが自動送信されるワークフローが完成です。
よく使うノードと使い方
n8nで頻繁に使用するノードを紹介します。
トリガー系ノード
Schedule Trigger(スケジュールトリガー)
指定した時間や間隔でワークフローを実行します。
- 毎日決まった時刻に実行
- ◯分ごとに実行
- 特定の曜日だけ実行
Webhook
外部からのHTTPリクエストでワークフローを起動します。
- フォーム送信時に処理を実行
- 他のシステムからの通知を受け取る
- APIエンドポイントとして機能
メール系トリガー(Gmail、IMAP)
メールの受信をきっかけにワークフローを実行します。
- 特定のラベルのメールを処理
- 添付ファイルの自動処理
データ処理系ノード
Edit Fields(Set)
データのフィールドを追加・編集・削除します。次のノードに渡すデータを整形する際に使用します。
IF
条件分岐を実現します。条件に応じて異なる処理を実行できます。
例:メールの件名に「緊急」が含まれていたらSlackに通知、それ以外はスプレッドシートに記録
Split In Batches
大量のデータを小さなバッチに分割して処理します。API制限を回避する際に有用です。
Merge
複数の入力データを1つに統合します。並行処理の結果をまとめる際に使用します。
外部サービス連携ノード
HTTP Request
任意のAPIにリクエストを送信します。n8nに専用ノードがないサービスとも連携可能です。
Google Sheets
Googleスプレッドシートの読み書きを行います。データの保存先として頻繁に使用されます。
Slack / Discord / LINE
各種メッセージングサービスへの通知を送信します。
OpenAI / Claude
AI/LLMを使った処理を実行します。テキスト生成、要約、分類などに活用できます。
実践的なワークフロー例
より実用的なワークフロー例を紹介します。
例1:フォーム回答をスプレッドシートに自動記録
構成
- Webhook(フォームからのデータ受信)
- Edit Fields(データの整形)
- Google Sheets(スプレッドシートに追記)
- Slack(受付完了を通知)
ポイント
- Webhookノードの「Respond」設定を「Using ‘Respond to Webhook’ Node」に変更
- フォーム送信者への完了メッセージはRespond to Webhookノードで返す
例2:メールの内容をAIで要約してSlack通知
構成
- Gmail Trigger(新着メール受信)
- IF(特定の送信者のみ処理)
- OpenAI(メール内容を要約)
- Slack(要約をチャンネルに投稿)
ポイント
- OpenAIノードのプロンプトに「以下のメールを3行で要約してください」のように指示
- GmailのCredentialはOAuth2で認証
例3:RSS更新をチェックしてデータベースに保存
構成
- Schedule Trigger(1時間ごとに実行)
- RSS Read(RSSフィードを取得)
- IF(新着記事のみフィルタ)
- Google Sheets(記事情報を保存)
- Slack(新着記事を通知)
Expressionの使い方
Expressionは、ノード間でデータを受け渡す際に使用する記法です。前のノードの出力データを参照したり、データを加工したりできます。
基本的な書き方
Expressionは二重波括弧 {{ }} で囲んで記述します。
// 前のノードの出力データを参照
{{ $json.email }}
// 前のノードの特定フィールドを参照
{{ $json.user.name }}
// 条件式
{{ $json.status === ‘active’ ? ‘有効’ : ‘無効’ }}
よく使うExpression
| Expression | 説明 |
|---|---|
| {{ $json.fieldName }} | 現在のアイテムのフィールドを参照 |
| {{ $(‘NodeName’).item.json.field }} | 特定のノードの出力を参照 |
| {{ $now.toISO() }} | 現在の日時(ISO形式) |
| {{ $today.toISO() }} | 今日の日付(ISO形式) |
| {{ $json.text.toLowerCase() }} | 文字列を小文字に変換 |
| {{ $json.items.length }} | 配列の要素数 |
日付のフォーマット
// 日本語形式の日付
{{ $now.format(‘YYYY年MM月DD日’) }}
// 時刻を含む
{{ $now.format(‘YYYY-MM-DD HH:mm:ss’) }}
認証情報(Credentials)の管理
外部サービスと連携するには、認証情報(Credentials)の設定が必要です。
認証情報の作成手順
- ノードの設定画面で「Credential」欄をクリック
- 「Create New Credential」を選択
- 認証方式に応じて必要な情報を入力
- OAuth2:Googleなどのサービスにログインして許可
- API Key:サービス側で発行したAPIキーを入力
- Basic Auth:ユーザー名とパスワードを入力
- 「Save」で保存
認証情報の再利用
一度作成した認証情報は、同じサービスを使う別のワークフローでも再利用できます。Credentialのドロップダウンから既存の認証情報を選択するだけです。
エラー処理とデバッグ
テスト実行でデバッグ
ワークフロー作成中は「Test workflow」ボタンでテスト実行できます。各ノードの実行結果(入力データ、出力データ)を確認できるため、問題の特定が容易です。
実行履歴の確認
有効化したワークフローの実行履歴は、ワークフロー画面の「Executions」タブで確認できます。成功・失敗の状況や、各ノードの処理データを確認できます。
エラー通知の設定
ワークフローがエラーで停止した場合に通知を受け取る設定ができます。
- ワークフロー設定(歯車アイコン)を開く
- 「Error Workflow」で通知用のワークフローを指定
通知用ワークフローでは、エラー情報をSlackやメールで送信するように設定します。
ワークフロー作成のコツ
1. 小さく始める
最初から複雑なワークフローを作ろうとせず、まずは2〜3ノードのシンプルな構成から始めましょう。動作を確認しながら徐々にノードを追加していくと、トラブルシューティングが容易です。
2. 各ノードの役割を理解する
n8nは500種類以上のノードがありますが、一度にすべてを覚える必要はありません。よく使うノードから1つずつ、「何ができるか」「どんな設定があるか」を把握していきましょう。
3. テンプレートを活用する
n8nには600以上のワークフローテンプレートが用意されています。目的に近いテンプレートをインポートして、自分の用途に合わせてカスタマイズするのが効率的です。
4. 自分の業務を自動化する
普段自分がやっている業務を自動化するのがおすすめです。業務内容を深く理解しているので、何を自動化すべきか、どこに注意が必要かの判断ができます。
5. メモを活用する
n8nではノードやワークフローにメモを残せます。なぜその設定にしたのか、何を処理しているのかを記録しておくと、後から見返したときに理解しやすくなります。
よくある質問
Q. ワークフローが動かないときは?
A. 以下を確認してください。
- ワークフローが「Active」になっているか
- 認証情報(Credentials)が正しく設定されているか
- テスト実行でエラーが出ていないか
- トリガー条件が正しいか(スケジュールの時刻など)
Q. 無料で使えますか?
A. はい。n8n Cloudは14日間の無料トライアルがあります。また、セルフホスト版(Docker等でインストール)は実行回数無制限で無料で使用できます。
Q. 日本語は使えますか?
A. UIは英語ですが、ワークフロー内のテキスト(メッセージ、通知文など)には日本語を使用できます。データ処理も日本語に対応しています。
Q. どんなサービスと連携できますか?
A. n8nは500以上のサービスと連携可能です。主要なものとして、Google系サービス(Gmail、Sheets、Drive)、Slack、Notion、Discord、LINE、OpenAI、各種データベースなどがあります。また、HTTP Requestノードを使えば、APIを持つあらゆるサービスと連携できます。
まとめ
n8nの基本的な使い方を解説しました。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 基本概念 | ワークフロー=自動化の流れ、ノード=部品 |
| ノードの種類 | トリガー(開始)とアクション(処理) |
| データ参照 | Expressionで前のノードのデータを取得 |
| 外部連携 | Credentialsで認証情報を管理 |
| デバッグ | テスト実行と実行履歴で確認 |
まずはシンプルなワークフローから始めて、徐々に複雑な自動化に挑戦していきましょう。テンプレートを活用すれば、実用的なワークフローをすぐに構築できます。
n8nの導入方法については、Dockerでのセットアップはを参考にしてください。AIとの連携方法はで詳しく解説しています。

