n8n(エヌエイトエヌ)は、業務を自動化できるオープンソースのワークフローツールです。プログラミング不要で、さまざまなアプリやサービスを連携させ、手作業を自動化できます。
この記事では、n8nとは何か、何ができるのか、なぜ注目されているのかを初心者向けにわかりやすく解説します。
n8nとは
n8n(エヌエイトエヌ)は、ドイツで開発されたオープンソースのワークフロー自動化ツールです。読み方は「エヌ・エイト・エヌ」で、「nodemation(ノードメーション)」の略称です。
普段使っているアプリやサービス(Gmail、Slack、Googleスプレッドシート、Notionなど)を連携させて、手作業でやっていた定型業務を自動化できます。
例えば、以下のような自動化が可能です。
- メールの添付ファイルを自動でGoogleドライブに保存
- フォームの回答をスプレッドシートに記録してSlackに通知
- SNSの投稿を自動で収集してデータベースに保存
- AIを使ってメールの内容を要約し、担当者に振り分け
2025年3月には5,500万ユーロ(約90億円)の資金調達を実施し、GitHub上で5万以上のスターを獲得するなど、世界中のエンジニアや企業から注目を集めています。
n8nの特徴
n8nには、他の自動化ツールにはない特徴があります。
ノーコード・ローコードで使える
n8nは、プログラミング不要で使えるノーコード/ローコードツールです。「ノード」と呼ばれる部品をドラッグ&ドロップで配置し、線でつなぐだけでワークフローを作成できます。
視覚的に処理の流れを確認できるため、プログラミング経験がなくても直感的に操作できます。一方で、必要に応じてJavaScriptやPythonのコードを書いて高度な処理を実装することも可能です。
オープンソースで無料
n8nはオープンソースソフトウェアとして公開されており、セルフホスト版は無料で利用できます。自分のサーバーやパソコンにインストールすれば、実行回数の制限なく無料で使い続けられます。
有料のクラウド版もありますが、セルフホスト版なら初期費用・月額費用ゼロで始められるため、コストを抑えたい企業や個人にとって大きなメリットです。
500以上のサービスと連携可能
n8nは500種類以上のアプリやサービスと連携できます。主要な連携先は以下の通りです。
| カテゴリ | 連携可能なサービス例 |
|---|---|
| コミュニケーション | Slack、Discord、LINE、Microsoft Teams |
| メール | Gmail、Outlook、IMAP/SMTP |
| ドキュメント | Google Sheets、Notion、Airtable |
| ストレージ | Google Drive、Dropbox、OneDrive |
| CRM・マーケティング | Salesforce、HubSpot、Mailchimp |
| 開発 | GitHub、GitLab、Jira |
| データベース | MySQL、PostgreSQL、MongoDB |
| AI | OpenAI、Claude、Google AI |
さらに、HTTP Requestノードを使えば、APIを持つあらゆるサービスと連携できます。
セルフホストでデータを自社管理
n8nはセルフホスト(自社サーバーへのインストール)に対応しています。これにより、ワークフローで扱うデータを外部に出さず、自社環境内で完結させることができます。
ZapierやMakeなどのクラウド専用ツールでは、すべてのデータが外部サーバーを経由しますが、n8nなら機密性の高いデータも安心して扱えます。
AIエージェントを構築できる
n8nは、OpenAIやClaudeなどのAI/LLMとの連携に対応しています。単にAIを呼び出すだけでなく、AIが自律的に判断して次のアクションを選択する「AIエージェント」を構築できます。
例えば、「受信したメールの内容をAIに解釈させ、内容に応じて返信案を作成する・データベースを検索する・担当者に通知するといった異なるタスクを自動で実行させる」といった高度な自動化が可能です。
n8nでできること
n8nを使うと、さまざまな業務を自動化できます。代表的なユースケースを紹介します。
データ連携・同期
異なるシステム間でデータを自動的に連携・同期できます。
- フォームの回答をCRMとスプレッドシートに同時登録
- ECサイトの注文情報を在庫管理システムに連携
- 複数のデータソースを統合してレポートを自動生成
通知・アラート
特定の条件が満たされたときに、自動で通知を送信できます。
- 重要なメールを受信したらSlackに即時通知
- サーバーの監視データが閾値を超えたらアラート
- スプレッドシートが更新されたら関係者にメール送信
定期実行タスク
毎日・毎週など決まったスケジュールで処理を自動実行できます。
- 毎朝9時にニュースを収集してまとめを配信
- 毎週月曜に前週の売上レポートを自動生成
- 毎日深夜にデータベースをバックアップ
AI活用
AIを組み込んだ高度な自動化が可能です。
- メールの内容をAIで要約して担当者に振り分け
- 顧客からの問い合わせをAIで分類・優先度付け
- ドキュメントの内容をAIで分析してレポート作成
n8nの仕組み
n8nでワークフローを作成する際の基本概念を説明します。
ワークフロー
ワークフローは、自動化したい業務の一連の流れを定義したものです。「きっかけ(トリガー)」から始まり、複数の「処理(アクション)」を順番に実行します。
例:「メールを受信したら → 添付ファイルを取得 → Googleドライブに保存 → Slackに通知」
ノード
ノードは、ワークフローを構成する「部品」です。各ノードは特定の処理を担当し、これらを組み合わせてワークフローを構築します。
ノードは大きく2種類に分かれます。
- トリガーノード:ワークフローを開始するきっかけ(例:メール受信、スケジュール実行、Webhook)
- アクションノード:実際の処理を実行(例:データ変換、API呼び出し、メール送信)
接続(エッジ)
ノード同士を線でつなぐことで、データの流れを定義します。前のノードの出力が、次のノードの入力として渡されます。条件分岐や並列処理も設定可能です。
n8nの料金
n8nには、セルフホスト版とクラウド版の2つの利用形態があります。
セルフホスト版(無料)
自分のサーバーやパソコンにインストールして使う形態です。
- 実行回数:無制限
- ワークフロー数:無制限
- ユーザー数:無制限
- 費用:無料(サーバー代のみ)
DockerやVPSを使えば、月額1,000円程度のサーバー代だけで運用できます。
クラウド版(有料)
n8nが提供するクラウドサービスを利用する形態です。サーバー管理が不要で、すぐに始められます。
| プラン | 月額(年払い) | 実行回数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Starter | €20 | 2,500回/月 | 個人・小規模向け |
| Pro | €50 | 10,000回/月 | チーム向け、高度な機能 |
| Enterprise | 要問合せ | カスタム | 大規模組織向け |
※2025年8月に料金体系が刷新され、すべてのプランでワークフロー数・ユーザー数・ステップ数が無制限になりました。
n8nと他ツールの比較
n8nと代表的な自動化ツールを比較します。
| 項目 | n8n | Zapier | Make |
|---|---|---|---|
| 料金 | セルフホスト無料 | 月$19.99〜 | 月$9〜 |
| 課金単位 | 実行回数 | タスク数 | オペレーション数 |
| 連携サービス数 | 500+ | 7,000+ | 1,800+ |
| セルフホスト | ◯ | ✕ | ✕ |
| 複雑なワークフロー | ◎ | △ | ◯ |
| AIエージェント | ◎ | △ | △ |
| 日本語UI | ✕ | ◯ | ◯ |
| 学習コスト | やや高い | 低い | 中程度 |
n8nが向いている人
- コストを抑えて大量の自動化を実行したい
- 複雑な条件分岐やデータ処理が必要
- AIエージェントを構築したい
- データを自社環境で管理したい
- カスタマイズ性を重視する
Zapier・Makeが向いている人
- 日本語UIで手軽に始めたい
- シンプルな連携がメイン
- サーバー管理をしたくない
- 非エンジニアが主に使用する
詳しい比較は、をご覧ください。
n8nの始め方
n8nを始める方法は主に3つあります。
1. クラウド版で試す(最も簡単)
n8n公式サイトでアカウントを作成すれば、すぐに使い始められます。14日間の無料トライアルがあるため、まずは機能を試してみたい方におすすめです。
- n8n公式サイト(n8n.io)にアクセス
- 「Get started free」をクリック
- メールアドレスでアカウント作成
- ワークフロー作成画面が表示される
2. Dockerでローカル実行
Dockerがインストールされていれば、1コマンドでn8nを起動できます。
docker run -it –rm –name n8n -p 5678:5678 -v n8n_data:/home/node/.n8n n8nio/n8n
ブラウザで http://localhost:5678 にアクセスすると、n8nの画面が表示されます。
詳しいセットアップ方法はをご覧ください。
3. VPSで本番運用
本格的に運用する場合は、VPS(仮想サーバー)にn8nをインストールします。HTTPS対応やPostgreSQLとの連携など、本番環境に必要な設定を行います。
セルフホストの詳細はで解説しています。
よくある質問
Q. プログラミングができなくても使えますか?
A. はい、使えます。n8nはノーコードツールとして設計されており、ノードをドラッグ&ドロップで配置するだけでワークフローを作成できます。ただし、複雑なデータ処理にはJavaScriptの基礎知識があると便利です。
Q. 日本語で使えますか?
A. UIは英語のみですが、ワークフロー内のテキスト(メッセージ、通知文など)には日本語を使用できます。データ処理も日本語に対応しています。
Q. 無料で商用利用できますか?
A. セルフホスト版は、自社の業務効率化目的であれば無料で商用利用できます。ただし、n8nをホスティングして第三者に有料提供することは制限されています。
Q. どのくらいの規模まで対応できますか?
A. セルフホスト版は実行回数無制限のため、個人利用から大規模企業まで対応可能です。実際にメルカリなどの大企業でも業務自動化基盤として採用されています。
Q. セキュリティは大丈夫ですか?
A. クラウド版はSOC 2 Type II認証を取得しています。セルフホスト版は自社環境で完結するため、機密データも安全に扱えます。HTTPS対応や認証設定も可能です。
まとめ
n8nは、オープンソースで無料から使える強力なワークフロー自動化ツールです。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 概要 | オープンソースのワークフロー自動化ツール |
| 料金 | セルフホスト版は無料、クラウド版は€20/月〜 |
| 連携 | 500以上のサービスと連携可能 |
| 強み | コスト、セルフホスト、AI連携、柔軟性 |
| 向いている人 | コスト重視、複雑な自動化、AI活用したい人 |
手軽に始めたい場合はクラウド版の無料トライアル、コストを抑えて本格運用したい場合はDockerでのセルフホストがおすすめです。
n8nの具体的な使い方は、料金の詳細はをご覧ください。AIとの連携方法はで解説しています。

